桃城×那美



桃城はそっと那美を布団に横たえる。

そして、上からじっと那美の顔を見つめる。


「お前も風呂上りだろ?」


「え?」


「シャンプーの匂いがする。それに何時ものこの馬の尻尾みたいな頭もしてないしな」


那美がくすくす笑った。


「一緒ですね…私達」


「ああ、一緒だな」


「その方が、なんだか大人っぽいな」


「先輩」






那美のTシャツの裾から桃城の手が中に滑り込む。

滑々として贅肉の無い腹の感触を楽しんでから戸惑いがちに、ブラジャーの脇から那美の乳房に侵入する。

ブラジャーはせり上がり、両の乳房を剥き出しにして那美の鎖骨の辺りにとどまっていた。

テニスウェアを着ている時には意識もしなかったその胸が意外に豊かである事に桃城は驚いていた。

性急に捲り上げたTシャツからはみ出た、はりのある双の丘の天辺で、薄い桜色の隆起した乳首を

まるで本能のように桃城は口に含んだ。


「-あ…」


身をよじるようにして、小さく那美が声をあげる。

「嫌」と言ったのかもしれないが、桃城にもよく聞き取れなかった。

舌先を尖らせて、乳首の先を刺激するたびに、那美の口から声にならない喘ぎが漏れる。

次第に桃城は嗜虐的な気持ちになってきた。

大きな桃城の左手の中に、豊かなはずの那美の右の乳房が乱暴に包まれ

その先の突起を親指で乱暴に刺激する。


「−いや…痛い…」


那美の手が伸びて桃城の愛撫を止めさせようとするが桃城はそれを許さない。


「…お、お願い…やさしく…して…下さい…」


喘ぎながら那美がやっとの思いで言う。

しかし、乱暴にされていながらも、下腹部の奥の何かがキュンと音を立てて収縮する間隔を那美は感じていた。






右の胸に受ける痛みを伴う刺激。

左の胸に受ける甘やかな刺激。

その二つがないまぜになって、那美は次第に快感の海に投げ出されていく。

桃城が赤ん坊がそうするように、薄いピンクの突起を吸い上げると

我知らず、甘い声が漏れる。


「あっ…あっ…だめ…いや…」


嫌ではない…むしろ、更なる刺激を求めているのに 口について出るのは「嫌」という言葉になる。


「電気を消して…お願い…恥ずかしい」


やっとの思いで、那美が言うと、

桃城は名残惜しそうに、胸の真中に一つ赤い印をつけてから 那美の顔を覗き込んだ。






硬く目をつぶる那美は、激しい緊張に幾分青ざめている。

桃城はその顔をじっと見つめた。

逡巡がわきあがる。

このまま激情に流されて、那美を自分の物にしてしまって良いものか。

桃城とて、経験がある訳ではないのだ。

これが本当に那美にとって良い事なのか、最後の最後まで自信ががなかった。


「小鷹…」


「電気を消してください…」


目を閉じたまま、もう一度那美が言った。

那美は待っていた。

何もかも忘れて、桃城の物になる瞬間を。

桃城はそっとその那美の可憐な唇にキスをした。


「後悔…させねぇからな…」


桃城は起き上がり、腕を伸ばして蛍光灯の紐を引いた。

途端に部屋は薄闇に包まれる。

那美のきれいに整った顔立ちと、成熟と未成熟の狭間に描かれたなだらかな体の曲線を

見ることが叶わなくはなったが、その分、想像力が掻き立てられる。

桃城は自分のTシャツを脱ぐと、よく鍛えられた上半身を露にした。

そして、手探りで那美の首元にまとわりつくように残ったTシャツとブラジャーを優しく脱がせる。






那美は従順にされるがままになり、もう一度両の腕を桃城の首に回した。


「…桃ちゃん先輩…大好き…」


桃城は、その耳朶を甘く噛み、首筋から次第に胸元へそしてさらにその下へ舌で愛撫を加える。

その痕跡を追跡するように、敏感に那美の声が甘くなる。


「あっ…ンっ・・・あっ…いや…あぁ…」


ついに桃城の右手が、那美のショーツをゴムを潜った。

初めて触れる女性のそこに、一瞬躊躇したが那美の花弁は予想以上に蜜を湛えて、桃城の指を迎え入れた。


「濡れてる…」


口に出したつもりはなかったが、那美の耳には届いていた。

不意に那美の内腿に力がはいりそれ以上の侵入を阻もうとする。

桃城には見えなかったが、那美は羞恥に両手で顔を隠していた。

消え入りそうな声で


「そんな事…言わないで…」


と、言った。

その声の可憐さに、とうとう最後の桃城の理性が飛んだ。

体勢を変えると、那美の両膝の間に自分の足を割りいれ那美の本能的な抵抗に構わず、ぐっと足を押し開いた。

乱暴にショーツをずり下げると、初めてとは思えない手際のよさで一気に足首まで引き下げる。

もう、那美の身体を隠すものは何もなかった。






「やめ…」


「やめねぇ」


はりついた喉から、かすれた声で桃城は言った。


「本当は、やめて欲しくないんだろう?」


声とともに、中指を那美の一番敏感な突起に押し当てる。

そしてあふれ出た蜜を擦り付けながら柔らかに円を描いた。

闇に慣れた桃城の目に、微かに頷く那美の気配がわかった。


「あぁっ、いや、あっ、あっ…だめ…あん…変になる…」


そこが、処女だとしても、一番感じる場所なのは桃城も知識としては知っている。

那美が乱れだした。

両手で枕の両端をきつく握り締め、背中が反り返っていく。

呼吸が速く大きくなっていた。

激しく首を左右に振り出したのはこの刺激から逃れたいという事なのか…。


「あぅ・・あん…いや…ああん…先輩…だめ…それ以上…しちゃだめ…ああ…おかしく…なっちゃう…いや…ああ」


上下と円を描く動き、強弱をつけて、桃城の女芯への愛撫は続く。

那美はさらに激しく乱れた。

切なげな声とともに、次第に刺激に合わせて腰がガクガクと揺れだす






桃城は、那美の顔が見たいと思った。

那美の声に掻き立てられて桃城自身も既に熱く怒張している。

我慢できない限界まで近づいていた。

那美が欲しい。

切実に思った。

那美の中から、愛液がおびただしい程溢れ出し、シーツを、桃城の手を濡らす。

那美のすすり泣くような、言葉にならない喘ぎが、しんと静まった部屋中に響いている。

その声が外に漏れているかどうか…そんな事を考える余裕はもう2人にはなかった。

桃城は身体を動かすと那美の耳元で囁いた。


「いいか?小鷹」


弾んだ息の中から切なげに那美は応えた。


「来て…お願い…私を…壊して…」


もう何も迷う理由はなかった。






全裸になった桃城は、熱くたぎったものを那美の花弁に押し当てた。

そして、少しずつ腰を静める。

----熱い。

予想外に那美の中は熱かった。


「-----っつぅ」


苦痛を訴える那美の声にならない声に連動したように、那美の中がきゅうっと締まった。

それ以上の侵入を阻むように急速に膣壁が狭くなる。


「痛いか?」


十分中は潤っているはずなのに、那美は両の手のひらを桃城の胸にあて押し返そうとする。

無意識の仕草のようだった。


「・・・・・・・痛い・・・です」


息をするのもやっとのように、那美は応えた。


「やめるか?」


自分の意志とは裏腹に桃城は訊いた。

やめたくはない。

ここまで来たら完全に那美を自分のものにしたい。

だが、那美の様子を見ると、これ以上蹂躙する事に激しい罪悪感がわいてくるのも又、事実だった。

実際那美は、身体を二つに裂かれるような痛みを味わっていた。

那美の中に遠慮がちに侵入してきた、桃城の物は那美の予想を遥かに上回る大きさだった。

こんなに大きいものが自分の中に入るのかと、半ば恐怖に近い物を那美は感じていたのだ。






だが、


「・・・・・・・・・・やめないで下さい・・・・・しばらくじっとしていてくれれば、平気・・・だと思います・・・」


頼りなげに、那美が呟く。

その言葉に、桃城の中から那美への愛しさが沸いてきた。

しかし実際問題として、このままでいるというのは桃城にとってはかなり辛い事であった。

下手をすれば萎えてしまう。

しばらく堪えていた桃城だったが、こちらも初めて事で、もう我慢ができなくなっていた。


「悪い、辛いだろうががまんしてくれ…俺も動かねえと終われないんだ」


言うなり、桃城は那美の一番奥へとぐっとたぎったそれを押し込んだ。


「っうう」


くぐもった那美の声に目を凝らしてみると、悲鳴が外に漏れないよう

那美は左の手の甲を自分の唇に押し当てていた。

カーテンの隙間から漏れる光に反射しているのは、苦痛の涙なのか。






桃城の律動にあわせて


「あ…あ…」


と 那美の低い声が漏れる。

動きに合わせて上下する那美の肩から首へ手を回し桃城は那美に深いキスをする。

歯があたってカチリと音をたて、続いて那美の甘い舌が桃城を求めて絡まってきた。


「ごめん…」


頭の後ろが痺れるような、甘い疼きに促され桃城の動きは急激に早くなった。

狭い那美の中で微妙な締め付けが始まってさらに桃城は我を忘れる。


「ああん・・・」


那美の声に先刻の甘い切なげな響きが混じってきた。

2人のつながった場所に次第に潤いが戻ってきて隠避な音を立て始める

桃城自身も初めて知る、快感をむさぼるように味わっていた。


「あっ…ん…ああ…もう、もう…先輩」


「…小鷹…だめだ…」






終息は突然来た。

射精感が桃城の体から急速に力を奪っていく。

やばい…そう思っているのに体が言う事を効かない。

はぁ、はぁと荒い息をたて桃城は那美の上に覆い被さっていた。


「ごめん…俺…やばいな…」


外に出せなかった失敗をどうしていいのか、狼狽して身体を離そうとした桃城に那美はギュッとしがみついた。


「まだ離れないで…」


「だけど…」


「大丈夫だから…今日…大丈夫な日のはずなんです…」


那美は人差し指をそっと桃城の唇に当てた。


「桃ちゃん先輩………ありがとう…」


那美は自分から唇を求めた。






携帯のアラームが4時半になった。

桃城は傍らの那美をそっと揺り起こす。

自分の腕枕で猫のように丸くなって眠っていた那美は、安眠を妨げられいやいやをしてから目を開いた。


「部屋へ帰る時間だぜ、これ以上遅くなると、婆さんや大石先輩にみつかっちまう」


「・・・・!」


我に返って那美は素早く身体を起こした。


「帰らなくちゃ…桜乃ちゃん達にもばれたら大変…」


その右手を捕まえて素早く引き寄せ、桃城は額に軽いキスをする。


「大好きだぜ…小鷹…ずっと側にいろよ」


小さく頷いて、那美は頬を摺り寄せる。

そして名残惜しそうに布団からでると静かにドアを開け、昨夜桃城がそうしたように廊下の両側を確認した。

相変わらず人気はない。

軽く右手を上げ音もなく、那美は廊下へ消えた。

その姿を見送った桃城は、持っていた枕を天井めがけて放り投げた。


「いやっほーーーー」




その途端、隣の部屋から壁をける音と荒井の怒声がした。


「うっせーぞ!桃!何時だと思ってるんだ!」


「やべ…」


桃城は慌てて、布団にもぐりこんだ。

まだ少し眠る事が出来る。

いい夢の続きが見られるかもしれない。

いや、さっきまでの温もりは少しも夢ではなかったが…。

今日から何かがまた変わっていく。

そんな幸せな予感につつまれて桃城は目を閉じた。



end






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