早川→小鷹 (※百合)



Jr選抜合宿。

巴は、昔父に買ってもらった羊のぬいぐるみ、めーたんを連れてきていた。

同室の早川にさんざん馬鹿にされてしまったが、

他の皆は、めーたんがイイ夢を見せてくれるという巴の言葉を信じてくれた。

そして、朝起きた時、早川を除く女子は、めーたんのおかげでイイ夢が見れたよ、と言ってくれた。

巴は、それを聞いて とても誇らしく思った。


「えへへ。みんな、めーたんが好きだって。よかったね。・・・あ、楓ちゃん。おはよ。皆もう食堂行っちゃったよ?」


「そう・・・。」


寝起きのせいか、気のない返事をする早川。その視線は、巴が抱いている羊のぬいぐるみに向けられていた。


「あ。楓ちゃんも、いい夢見れた?皆いい夢見れたって、言ってたんだけど・・・。」


「ぜんっぜんいい夢なんかじゃなかったわ!」


きっぱりと言い放たれて、巴はうなだれた。

ショボーンって感じだ。

しかし、早川の、全然いい夢じゃなかったわりに、テンションが高いのが気にかかる。


「じゃ、どんな夢見たの?」


「―――そう、ね。あんたになら、話してもいいわ。」


だって何も考えてなさそうだもの。と最後の言葉は聞き流して、早川の友情に感動する巴。

早川は、昨夜の夢を思い出すべく、目を閉じて話し始めた。





「あの子の夢よ。
 
 小鷹 那美。

 あの子が出てくるだけで、もういやな夢決定なのよ。

 それなのに、小鷹ときたら、いきなり服を脱ぎ始めて
 

  「あなたのも脱がせてあげよっか?」


 とか言って、私の服を脱がすのよ!

 その手つきの強引な事と言ったら、私だって抵抗できなかったわ!

 場所?―――シャワールームよ。

 けど、周りに誰もいなかったの。

 だから、個室にも入らずに、ふたりで全裸よ。

 まぁ、小鷹さんときたら、ホントにテニスやってるのって感じのほっそい身体してたわ。

 胸だって、あるんだかないんだか。

 ただ、色は白かったわね。

 ホントにテニスしてんのかしら。

 乳首なんかピンクで。
 
 けど、意外に身体は丸みがあるのよね。

 あんたは胸でかくて、身体も丸みが強いけど、どーしたってお子様よね。
 
 その点、小鷹はぜんっぜん色香のある体つきじゃないのに、なんかこう、しっとりとしてて、

 あんたより数段大人っぽいというか。

 色っぽいというか。

 昔はお姫様みたいだったのに、今は女王様みたいというか。

 それを脱がすのを楽しみにしてたのよ!

 ああ、ぞくぞくするっ!

 あのお嬢顔を、恥辱と快楽に歪めてみたいっ!・・・。

 ・・・。

 とにかく、その小鷹さんに私は服を脱がされたわけ。それだけでもむかつくのに

 ―――だってそうでしょ?どう考えたって、


  立/場/が/逆/でしょ!!


 私が脱がすべきよ!!

 いずれあの温和そうなお嬢顔を、


   「きゃぁ!やめてよ!何するの!!早川さん!!だめー!!」


 と 叫びながら脱がすつもりだったのに、なんでこっちが脱がされてるの!

 あまつさえ、小鷹は私を押し倒してこう言ったのよ!

   「どんな風に攻められたい・・・?」って!!

 
 もう、腹が立って!!

 だから逆だってのよ!

 逆だって言ってるのに、あの女、電気がついたまま、

 いきなり身体を嘗め回して唾液で濡れた私の身体を眺めて、楽しそうに嘲笑うのよ!

 ――ああっ!どこであんなこと覚えてきたのかしらっ!

 私が一から全部教える予定だったのにっ!!

 しかも上手い!!
 
 なんて腹が立つ!!

 そのまんま好き勝手に身体をいろいろいじられて

 ―――ああ!なんてイイ夢

 ・・・違った、

 不愉快な夢だったわっ!!」







ぜーぜーと息を吐き、一気に話し終わった早川を、巴はどこか感心したように見つめた。


「楓ちゃんって・・・」


「何!?」


「受け体質だったんだねー。」


「あんた今までの話聞いてたの!!?」





おあとがよろしいようで。







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