テニスの王子様 竜崎桜乃改造計画 第二幕 海桜篇




「部長、終わりました」


越前は桜乃の特訓のあと、部室にきていた。

打ち合わせどうり、そこにはレギュラー全員が集まっていた。


「うん、上出来だ。俺の台本どうりにできていたし、カメラもしっかり取れたしな」


満足そうに乾が話す。


「いいんっすか。カメラまでとっちゃって。」


「念のためだよ。まあ、あの娘なら大丈夫そうだよ。たぶん、誰にも話さない」


(越前にべた惚れってのはあきらかだしね)


いつものように微笑を浮かべながら答える不二だが、内容が内容だけに恐ろしい。


「それで、次は誰が行くんっすか」


「それがすんなり決まりゃ、こちとら苦労しないんだよ、ボーイ」


(誰だよ、こんなときにタカさんにラケットもたせたのは・・・)


「それを決めようってしてるんだけど、なかなか向こうの世界の人たちが戻ってきてくれなくねェ」


そういうと、不二は奥の部屋のほうを指差す。


「うわっ!もう見てるんすか」


とリョーマが驚く。

奥の部屋では、さっきのリョーマと桜乃との特訓の様子がテレビに映っていた。  

それに桃城と菊丸が画面にくっつき、大石と海堂が恥ずかしそうにながらも、しっかりと画面を見つめていた。


「おっ!越前のヤロー、戻ってきやがった。おい越前、これスギェーなー。どうだったよ」


「ねえねえ、やっぱり気持ちよかった?」


桃城と菊丸の二人がリョーマに食いついていく。


「はぁ、まあ」


「まぁ、じゃわかんないよー」


「そうだそうだ越前!もっと吐け!!」


「そんなこといわれても・・・」


「越前も戻ってきたことだし、次のコーチを決めるぞ」


手塚の号令がかかり、それまでの和やかムードが一変する。


「次のコーチだが・・・・・・」


ごくっ。


「誰か立候補いるか」


一瞬の静寂の後、


「はいっ!はいっ!はいっ!はいっ!」


と手塚と越前以外の手がいっせいに挙がった。


「やはりな・・・・」


と嘆く手塚。


「しかたない。すでに経験している者として越前、おまえはどう思う」


「もうくじで決めちゃていいんじゃないんすか」


「そうか。じゃあそうしよう」


(ってまじかよ。そんなんでいいのかよ)


とほぼ全員が突っ込んでいるのを手塚は知らない・・・


「とりあえず、もう全員分の台本は作ってあるからな。誰がなっても問題ない」


「うわっ、乾、いつのまにそんなことを・・・」


「まっ、その辺は企業秘密というお約束だ」






結局くじの結果、次のコーチは海堂に決まった。






そして翌日。


(先輩たちと特訓って、いったいどうなるんだろう。

 もしかしたら、昨日のリョーマ君とのみたいなやつかなぁ?

 だとしたら絶対に断らないと!!

 昨日はリョーマ君とだったからよかったけど、それ以外の人となんていやだ!絶対にいやだ!!)


などと桜乃は思っていたが、

なぜか、最初から特訓をうけないとか、

このことを誰かに相談するとかいう選択肢をまったく思いつかなかった桜乃だった。

一方、海堂はこの日学校にきていなかった。

同じ2年の桃城はこのことにすぐに気づき、手塚のもとに報告に行ったが、

乾からの報告で、海堂は午後から学校に来るとのことだった。


「海堂にはちょっとお願いをしておいたんだ」


「おねがいっすか?」


「そう。これからのことに関していろいろと必要なものの調達に行ってもらっている。 

 あいつの叔父さんがこういうブツに関してかなり通じているとの調べがついてな。 

 後はあいつのスネイクの特訓用の秘密兵器もそろえてもらっている」


「はぁ」


「まあそのうちわかる。楽しみにしていろ」







そのお昼休みのことだった。


「ふう。何とか間に合った」


両手に袋いっぱいの荷物、背中に直方体の木箱を背負って海堂が学校へとやってきた。


「まずはこれを全部部室に隠してっと」


乾との段取りを思い出し、部室へと向かった海堂。


「よう海堂。間に合ったか。あれは手に入ったか?」


「はい。でも、直径5センチ、長さ60センチのちょっと小柄なやつだそうです」


「そうか。まあ十分だろう。ご苦労だったな。セッティングは任せろ」


「はい」







そして放課後、桜乃は昨日の越前からの呼び出し場所であった、屋上へと向かっていた。

今日も越前に特訓コーチは誰なのかとさりげなく尋ねようと思っていたのだが、

昨日のことを思い出し、声をかけられないでいた。

そして屋上へのとびらをひらく桜乃。




――次回予告――

2番手海堂。ようやく登場か?そして次なる特訓とは?

次回乞うご期待。










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